えん麦ライブラリー

えん麦の「腸内環境改善効果」に関する研究

腸内代謝モデルで示される細菌叢由来のフェノール類、短鎖脂肪酸の生成

機能性食品として摂取される食物繊維には、いわゆるプレバイオティクスとして腸内細菌に働きかけ、善玉菌を増やしてゆく効果が期待されます。その際の着目点の一つは食物繊維が酵素によって分解して生じる短鎖脂肪酸とよばれる一群の栄養素です。この論文研究では、いろいろな種類の麦類およびそれらの代表的な使用部位を区別して用い、それらがどのように消化され、どんな短鎖脂肪酸が生成してくるかについて報告しています。

■研究概要

研究B001:ライ麦、小麦、ふすまとその成分が腸内代謝モデルで示される細菌叢由来のフェノール類、短鎖脂肪酸の生成

国    名:フィンランド

発 表 年:2012年

誌    名:J Agric Food Chem 60(22)8134-45

筆    者:Nordlund E.ら

カテゴリー:腸内環境改善

試験の目的

この実験では「ライ麦ふすまとふすま除去部(糊粉部)」、「小麦ふすまと糊粉部」、「えん麦ふすまと細胞壁濃縮物」について、予め酵素処理を行い試験管内での小腸内環境を模倣した系において各種フェノール化合物や短鎖脂肪酸の腸管内発酵パターンがどのように得られるかを比較した。

結果および考察

小麦糊粉部は最も顕著にフェノール化合物を生成した。ふすま部を用いたケースではいずれもフェルラ酸に由来すると思われるフェノールプロピオン酸が主要なフェノール系生成物であった。細粒加工したライ麦、小麦、えん麦ふすまはより多くの水溶性食物繊維を含み、その粒径の細かさのためにより発酵を受けやすいと考えられる。ライ麦の糊粉部とふすまはおそらくそこに含まれるフラクタン濃度が高いこと、水溶性アラビノキシランの影響により最も高い発酵性を示した。高濃度の水溶性食物繊維(β-グルカン)を含有するえん麦サンプルでの発酵速度は比較的ゆるやかであった。試験ラン内での腸内発酵模倣試験の前に酵素処理を行ったものを顕微鏡観察すると細胞壁の構造が変化しており粒子径も大きくなった。これがえん麦サンプルの発酵速度が緩やかになった原因であると思われた。小麦ふすまは今回検討した中では不溶性繊維含量が高く最も発酵速度が遅かった。試験管内の系では小麦サンプルのフラクタン含量が低下したため、これも発酵速度が遅い一因であると考えられた。短鎖脂肪酸については酢酸が最も多く生成された。プロピオン酸の生成は燕麦で最も高く、小麦で最も低かった。興味深いことに、小麦糊粉はガスを産生することなしにライ麦糊粉とほぼ同量の酪酸を生成した。

β-グルカン濃縮えん麦ふすまが上げる便中のカルボン酸濃度

食物繊維は小腸ではあまり消化を受けずに大腸に到達し、そこで腸内細菌の働きによって発酵分解を受けます。その結果として生成されるさまざまなカルボン酸(短鎖脂肪酸)は、腸内細菌や腸管そのものの大切な栄養源となります。この試験では、えん麦ふすまを摂取した時にどのようなカルボン酸が生成するかについてヒト試験で調べています。

■研究概要

研究B002:健常人においてβ-グルカン濃縮燕麦フスマは便中のカルボン酸濃度を上げる

国    名:スウェーデン

発 表 年:2008年

誌    名:Eur J Clin Nutr 62(8)97884

筆    者:Nilsson U.ら

カテゴリー:腸内環境改善

試験の背景

(食物繊維が腸内発酵によって生成する)酪酸などのカルボン酸は潰瘍性大腸炎や大腸がんなどの腸疾患に効果があると言われている。腸管内で生成されるカルボン酸についてはその濃度や生成パターンは食事に影響される。

試験の目的

この試験では、えん麦ふすまを摂取した時に腸内で生成するカルボン酸についてその濃度や経時変化、摂取期間によってどのような変化が生じるのかを健常人被験者を対象として調べた。

試験デザイン

25人の健常人(年齢24±1.3歳)被験者を対象とした。被験者は一日40gのβ-グルカン強化えん麦ふすま(これは20gの食物繊維を含む)を4枚のパンに入れた形で摂取した。試験開始時および4週目、8週目、12週目での糞便中に含まれるカルボン酸を連続する3日間測定した。

結果

えん麦ふすまを摂取した場合において8週間後での酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、イソ吉草酸濃度は初期濃度に比べて有意に増加してした(p < 0.05 – 0.001)。酪酸では減少していた(p <0.05)。12週間後でも同様の状態が維持されていた。各個人ごとでは安定した濃度パターンが見られたが、個人差にはかなりのばらつきが認められた。

結論および考察

えん麦ふすまを摂取した場合被験者の糞便中カルボン酸濃度は摂取開始後8週間で増加がみられたことから、大腸内での当該短鎖脂肪酸濃度が増加していたことがわかった。酪酸以外のすべての主要なカルボン酸濃度は上昇していた。えん麦ふすまは大腸疾患に対する予防効果を有する可能性がある。

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